2017年8月23日
ロード・オブ・ザ・リング

inouemini2

© New Line Productions, Inc.
デジタルプレミアムコース:ムービープラス(122ch)

放送日
8月29日(火)23:15~

(番組概要)

ピーター・ジャクソン監督による小説「指輪物語」の映画化。世界を支配する力を持った指輪を巡る勇者たちの冒険を描いたファンタジー三部作の第1部。時は中つ国第3紀、ホビットの村。全世界を闇の支配下に置くことのできる冥王サウロンの指輪が、若者フロドに託された。フロドは3人の友人と共に、指輪を山の火口に捨てる旅に出る。旅の途中で新たな仲間を得て9人になった一行は、追ってくる魔物と戦いながら目的地を目指す。

(井上公子の今日のイチバン↓)

いわゆるファンタジー文学の先駆け「指輪物語」の映画化はファンにとって奇跡のような出来事だったろう。
物語の壮大さ、奥深さが可視化可能か、また、可視化されることの弊害もある。
事実、一作目の劇場公開時には日本語字幕に抗議があがったとか。原作を読みこんだ人には、ただ一言が
世界をブチ壊されることになる事になるのに、耐えられない…その心理はすごくわかる。
私はそこまでのマニアではないが、映画化には当時、ものすごく興奮したし、懐かしい友に恐る恐る会いに行って
大感動して帰ってきた記憶がある。それ以降、連作を公開ごとに鑑賞し、テレビで放映されれば何度も見てきた。
物語に出会った10代のころには感じなかったことが、大人になると見えてくる。良くも悪くも。そしてさらにハマる・・・。
そもそもスケールの大きさは、地球でない場所の物語。地球人の常識や世界観を超えていく。スターウォーズも宇宙が舞台だけど、現代のわれわれの常識を超える事はない。舞台を宇宙に設定した、人間の父子の壮大な物語というエンターテイメントだ。「指輪物語」の作者トールキンは作家で詩人だが、本業は文献・言語の研究者。「ベオウルフ」というイギリスの伝承研究のほか、北欧などヨーロッパ各地の伝承にも詳しい。それらが物語の設定・構成・登場人物に真実味、リアリティを与え、読者を安心して想像の世界に遊ばせてくれる。
大学生になって初めて文化人類学なる学問に出会い、18年の人生に基づいた常識を覆された。ファンタジーは好きな子どもだったが、それはあくまで作られた世界として割り切っていた。「事実は小説より奇なり」人間の創造は現実を超えてはいかない。ベースは地球上に必ずある。愛読していた萩尾望都の「11人いる!」も、異星人、宗教、言語・・・子どもには目新しい設定だったが、成長につれ、その源泉が見えた。
「指輪物語」もベースはあくまで地球人としての人類の歴史だけれど、モチーフ利用にとどまらない、世界を再構成しているところがすごい。トールキンも作ってて楽しかっただろうなあと思う。大地や自然を作り、時を紡いで歴史を作り、人間も含んだ世界に生きる命を作り、彼らの言語を作って語らせる。創造主になった感覚ですね。
ホビットのフロドをはじめとする旅の仲間たちは、この世界を悪の手から守るため「指輪」を葬る旅に出る。軸はシンプルなストーリーだがその肉づけが分厚くて、ワクワク、ドキドキさせられて・・・ハマる。この点では映像化はすごく良かったと思う。お手軽な恋愛もお涙もない。ごつごつした手触り、自分との闘い、仲間との友情・・・画面も華なく暗いです。旅を続けて戦ってばかりだから、汚れてきたないです。スメアゴルなんて究極にキモイです。でも全部私たちの内面にあるもの。正面から、覗いてみましょうよ、と言いたい。
考えさせられるのは、悪役の描き方。物語が発表されたのは20世紀前半で今ほど人権意識は進んでいない時代でしょう。南部アフリカに生まれたとはいえ、英国人の両親、敬虔なカトリックで人生をほぼ英国で過ごした作者の創作は・・・主人公グループ、ドワーフやホビットは何人とは言えないが、エルフや、アラゴルンを始めとする人間たちはみな白人。しかも北欧系か?敵の冥界の王サウロンの手下は、猿人がベースか?後半に登場する援団は南方からやってくる有色人種でゾウに似た動物に乗ってくる。映像化の弊害かもしれない。原作に忠実に表現しているのだから、今の時代の解釈を加えることの方が問題だと思うけど、小さいお子さん鑑賞には配慮が必要かな?
あ~、語り尽くせない。イライジャ・ウッドあっての映像化という気もするし・・・今回はこの辺りでおしまいにさせていただきます。また機会がありましたら、お付き合いくださいませ。

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