2018年3月1日
時代屋の女房

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「時代屋の女房」

デジタルプレミアムコース:日本映画専門チャンネル(125ch)

放送日:3月14日(水) 21時00分~

(あらすじ)

村松友視の直木賞受賞作を、久々のメガホンとなる鬼才・森崎東監督が映画化。映画女優として将来を嘱望されていた夏目雅子が、野良猫のように家を出ては戻って来る素性不明の女性をミステリアスなに演じ圧倒的な存在感を放つ。東京・大井で骨董店を営む安さん(渡瀬恒彦)は、妻子と別れた女たらしの喫茶店マスター(津川雅彦)らと交友しつつ独身生活を送っていたが、ある夏の日、日傘をさした真弓(夏目雅子)が店を訪れ、女房気取りでそのまま居ついてしまう。

(井上公子の今日のイチバン↓)

夏目雅子は昨年生誕60周年だったそう。生きていれば還暦を迎えてたってこと。亡くなって何年たつのか・・・。美しいまま逝ってしまった人は、その思い出がより鮮やかに刻まれる。時間が存在をますます美化する。女優人生をピークで終了させる人もいる。同じ理由かな。フランス女性みたいに、年齢を重ねて、進化を見せることも大切だと思うけど、どっちがいいのでしょうか。
 夏目雅子は子ども心に「鬼龍院花子の生涯」が鮮烈だった。あの後、任侠ものに女優ジャンルができたんじゃないかな。「極妻」とか。どういう経緯だったのか、とにかく、思いっきりのよさ、その影響の大きさで、あれ以上の衝撃作はないのでは?
そして、今作の謎の女性。正体を明かさず、でも、かわいく一生懸命な生き方。結局、何者で、どこから来たのかもわからないまま話は終わったけど、男の立場からしたら、その方がいいのか。あらためて、昭和の、バブルに向かっていく頃の男の理想?・・・ほどほどに、執着せず、クールを装う・・・本当は女々しいのに、それを出さず伝えず、やせ我慢。そんなものの無意味さを思い起こした。「ナインハーフ」的な。手遅れになる前に手を打ちなさいよ!時代屋!結局、帰ってきたから、決着先送りにはできるけどね。
なぜ、時代屋がそんな生き方しているのか、複雑な生い立ち、また、終戦を生きた人たちが現役でいる時代が影響している。何年か前、「砂の器」が現代版としてリメイクされたけど、時代の背景が違うから、どうにも無理やりな感じがあった。その時代の風俗を濃く写し取っていく小説だからこその力強さが、時を隔てた観衆には訴える方向が違って見える。残念ながら。そういう時代ってあったんだな・・・と、時代考証しながら楽しむことができたらいいんだけど。
夏目雅子はきれいだけど、それ以上に、登場人物に存在感を与えるエピソードの積み重ねがある。原作の村松友視自身の出自に始まり、骨董(実は偽物だった)ペルシャの涙ツボ、元女子プロレスの居酒屋の女将、夏目雅子を訪ねて行った、南部のからくりや、鉄器、そして同宿した馬飼いの男性の心情・・・。主人公を取り巻く多彩なエピソードが重層的に時代を表し、そこに生きる主人公たちをリアルに描き出していく。
小説読んだ方が、手ごたえあるかも・・・なんて、このブログの目的を否定するようなことは言えないが、この独特な世界の中心に夏目雅子を据えて、時代屋をめぐる人々の愛らしさや懸命さ、不思議さを楽しんでください。

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